世界に誇る日本の旅館文化。旅館がホテルと大きく違うところは、旅館自体が旅の目的になりうるところ。そう、旅館に泊まるために旅をする、それでも立派に成立するのが旅館なのです。でもそのためには、旅館の楽しみ方を知らなければいけません。そこで今回は旅館の楽しみ方に迫ってみたいと思います。

旅館は緊張するという人もいるけれど…

中には旅館はホテルより緊張するという人がいます。しかし、それはとてももったいないのです。

なぜ旅館は緊張してしまうのか

旅館で緊張する一番の理由は、至れり尽くせりの「おもてなし」にあるのではないでしょうか。着物を着た女性が入口で出迎えてくれて、しかもその後荷物を持ってついてきてくれて、さらには部屋の中でお茶を入れてくれたりする。もう、申し訳ないやら気まずいやら……。という人は多いのではないでしょうか。そして、「心付けってどうすればいいの?」とソワソワしてしまう。おそらくこれが一番の緊張の原因かも知れません。

お姫様ごっこだと思って楽しむ

旅館というのは、最初から最後までしっかりと『非日常』を楽しむ場所です。自分の荷物を運んでくれて、お茶を入れてくれて、部屋にご飯を運んでくれて上げ膳据え膳で、しかもお風呂に入っている間に布団を敷いてくれるなんて、日常の中ではなかなか経験できません。ですから、これを存分に味わえばいいのです。それこそ、お姫様やお殿様になった気分で楽しんでしまいましょう。確かに、お姫様やお殿様態度で人と接するのはどうなの?と思うかも知れませんが、旅館サイドも最上級のおもてなしで最高の時間を過ごしてほしいと思っているのですから、むしろ遠慮をされるよりも心から旅館で過ごす時間を楽しんでもらえる方が嬉しいはず。もちろん限度はありますが、妄想力たくましく自分が大金持ちになったような気分で愉しんでみてはいかがでしょうか。

旅館で何もしない時間を愉しむ

旅館を旅の目的にしても、一体何をして過ごせばいいの?やることがないと暇で仕方ないのでは…そんな人もいますよね。手持ち無沙汰になるとスマホに夢中になってしまったり、ついつい仕事のメールや電話に追われてしまったりなんて人もいるかも知れません。でもそれではもったいない。せっかく何もしなくていい非日常の空間である旅館に来たのなら、「何もしない時間」を大切に過ごしてみませんか。

普段いつも忙しいのだから……。

旅行中も忙しくないと落ち着かない人って意外と多いんですよね。毎日忙しく働いて、お金を貯めてリフレッシュで旅行を楽しもうっていう時に、観光名所を巡る予定をびっちり詰め込んで分刻みで動いてしまいたくなるのです。

で、家に帰るとこう思うんですよね、「はぁ疲れた」って。まずその意識改革を、旅館で過ごしている間にやってしまうのはいかがでしょうか?なぜなら、旅館は全力で「暇を楽しむ」場所なのです。

まずはボーッとする

高いお金出してボーッとするの?!って思うかも知れません。でも、よく考えてみると、いつもの部屋でボーッとするのではなく、チリ一つない綺麗な畳の部屋、余計な物が何もない空間、そして場所によっては最高の景色、最高のお庭。そんな最上級の場で、ボーッとするのです。こんな贅沢は、旅館でないとなかなか味わえません。広い畳でゴロゴロするだけでも、かなり心が癒やされます。

旅館の中を歩いてみる

特に老舗旅館や大きな旅館になると、旅館という空間自体がホスピタリティを存分に感じることのできるテーマパークのようなもの。その中を歩き回るだけで、なんだか映画の主人公になった気分に浸れます。しかも、すれ違う仲居さんたちは、丁寧にお辞儀をして道を開けてくれますし、本当に、その家の主になったような気分にも。廊下から見えるお庭の景色やちょっとした廊下の花一輪に心奪われる。本当に贅沢な時間です。

お風呂を楽しむ

そして旅館といえばやっぱりお風呂。贅沢な楽しみ方を存分に満喫しましょう。

大浴場で贅沢バスタイム

やはり旅館のお風呂といえば、大浴場。旅館の大浴場を楽しむ時は『お風呂に入る』のではなく浴場を楽しむというスタンスで行くといいですよ。そう、つまり湯船に長いこと浸かる必要なんかないのです。内風呂にせよ露天風呂にせよ、その縁に座って足だけ浸かりながらボーッとしていてもいいし、脱衣所で冷たい風に当たって体を冷まし、何度も入りに行くのも全然構いません。のぼせないように注意を払って、温泉であれば入り口の効能と注意書きだけしっかり読めば、あとは時間を気にせずゆっくり愉しめばいいのです。

家族風呂でリラックス

大浴場だけでなく、家族風呂もあるならそちらも楽しみたいですよね。家族風呂というのはだいたい時間制で予約し、入浴時間が限られているのでのんびりは過ごせませんが、誰もいない空間で過ごすことができますからリラックス効果は同じかそれ以上。お風呂の縁につかまってプカーっと浮いてみるなどしても恥ずかしくありません。贅沢な空間を、完全にリラックスしたスタイルで楽しむだけで、心のデトックスは完了です。

最上級の贅沢は客室露天風呂

客室露天風呂のある部屋なら、もうそれは最上級の贅沢。誰の目も気にせず、完全にプライベートにお風呂を楽しむことができます。家族でも恋人でも、そして一人旅でも、これ以上ない贅沢を心の底から味わえる。一生の記憶に残る体験が待っています。

食事を楽しむ

そして旅館の楽しみ方といえば、極めつけは食事ですよね。目にも美しいお料理が次々に運ばれてきて、食卓いっぱいに並べられ、とにかく見た目が豪華でワクワクします。もちろん、器や四季折々の食材を楽しんだり、料理に合うお酒を楽しんだり、ゆっくりとその時間を楽しむのが一番の贅沢。家では絶対に味わえない「贅沢な時間」という名の調味料をしっかり味わいましょう。

最後は自分にお土産を

旅館の楽しみ方の最後に、自分へのお土産はいかがでしょう。もちろん、普通にその観光地のお土産などでも構いませんが、個人的におすすめしたいのは旅館で売っている絵葉書に自分宛ての手紙を書いて出す、というもの。チェックアウトと共にポストに投函をすれば、何日か後にその時の自分から手紙が届くのです。そして、楽しかった記憶や思い出、そしてリラックしした気分がもう一度味わえるというわけですね。少し大人の、趣のある楽しみ方です。

旅館は行くたびに楽しくなる

旅館というところは、行くたびに楽しくなってくる場所です。もちろん毎回お気に入りの同じ旅館でも良いのですが、その都度違う旅館に泊まったとしても、段々とその楽しみ方がわかってくるもの。

最初はただただ贅沢を味わい、次は床の間の花や掛け軸を楽しみ、そして四季折々の和の趣を楽しめるようになる。お茶の一杯、茶菓子の一つ、そして、部屋の中にある何気ない調度品の一つ一つまでもが、何度も旅館に泊まることでその良し悪しや違いがわかってくる。こうなってくるともう、あなたも旅館マスターです。次からは、観光地巡りではなく、とにかくゆっくりと過ごす為だけに旅館に泊まってみようだとか、秋の季節にもう一度訪れようといった、旅館を目的にした旅ができるようになるはずです。

ぜひ、敷居が高くて旅館はちょっと…と思っている人も少しずつ旅館に行く回数を重ねてみてはいかがでしょうか。

最高の憧れは旅館での長期滞在

旅館の魅力に取り憑かれた人の中には長く滞在する人もいます。ずっと住み続けることはレアなケースかも知れませんが、1ヶ月~数ヶ月間、お気に入りの旅館で長期滞在するというのは最高に贅沢ですし憧れますよね。職業や仕事によるとは思いますが、季節によって様々なロケーションを楽しむことも可能です。時間を気にせず、静謐な空間で、人生の一日一日を大切に過ごす。本当に優雅で風流な生き方が叶いそうです。

ただやっぱり旅館はまだまだ敷居が高いしコストもかなり大変…というのであれば、まずはホテルやホステルでの長期滞在から実現してみてはいかがでしょうか。実は様々なホテルやホステルがマンスリーでのプランを用意しています。今までホテルやホステルでの長期滞在というのはなじみのお客様やVIPからの要望があれば個別に交渉し契約するということがほとんどで、ちょっとハードルが高いイメージでした。ホテルと長期滞在希望者を繋ぐサイト「カリぐらし°」なら、サイトを通じて気軽に長期滞在できるホテルを探すことができますよ。

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